発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103821
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70歳男。便秘と両下肢のしびれが出現し、腹部CTで両側副腎の腫脹を指摘された。転移性骨腫瘍による脊髄の圧迫を考え、頸椎~腰椎のMRIを施行したが、脊柱管内に狭窄や占拠性病変はなく、Th3レベルにT2強調像で輝度変化を認め、ガドリニウム造影効果はなかった。頭部MRIでは両側白質に多発性の脳梗塞様輝度変化を認めた。胸骨骨髄穿刺検査では、好中球優位の反応性増殖像を認め、ごくわずかに異型リンパ球がみられたが、腫瘍性増殖とは判断できなかった。血液内科での骨髄生検などでも確定診断できず、徐々に全身状態が悪化して入院5週で死亡した。剖検病理所見で、両側副腎にはクロマチンの増量した大型の異型リンパ球が充実性に増殖し、異型リンパ球はCD20、CD79a陽性、CD3、CD30、CD5陰性で、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と考えられた。同様の異型リンパ球は脳および脊髄の表面の小血管内腔を充満するように認められ、最終的に血管内悪性リンパ腫と診断した。
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