発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011072003
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64歳男。頸部痛と四肢の痺れを主訴とした。膀胱癌と小腸腫瘍のため中心静脈栄養管理中であった。後頸部痛のため頸椎可動域(ROM)制限を認め、筋力低下を両上肢に、知覚鈍麻を両上肢および臍部以下に認めた。検査所見ではWBCとCRPの高値を認め、X線ではC5、C6椎体が圧潰し後彎変形を呈し、MRIでは同部椎体および椎間板はT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈し、ガドリニウムで造影された。また、C4~C6に硬膜外膿瘍もみられ、同部位で脊髄は圧迫されていた。頸椎化膿性脊椎炎と診断し、抗生物質を投与したが筋力低下、麻痺が増悪したため、病巣掻爬および自家骨移植による頸椎前方固定術を行った。術中、病巣部は不良肉芽が充満していたが、硬膜外腔からは膿の排出はなかった。術中組織培養、血液培養、尿培養によりCandida albicansが検出されたため、真菌性脊椎炎と診断した。術後ホスフルコナゾールの投与を開始し、1週間でCRPは陰性化した。術後1年6ヵ月の時点で再燃はなく、骨癒合も得られ、麻痺は改善し、日常生活動作も自立している。
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