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真菌性角膜炎の治療では,抗真菌薬の局所投与と病変部位の搔爬が標準治療とされているが,抗真菌薬全身投与の有効性についてのエビデンスは確立されていない。今回我々は,局所治療に抵抗したCandida albicansによる角膜炎に対し抗真菌薬の全身投与が奏効した1例を経験したので報告する。症例は51歳男性,農夫。右眼の充血および異物感を主訴に近医を受診し,角膜炎と診断された。抗菌薬および低濃度ステロイド点眼薬などによる加療を受けたが改善せず,24日後,当科を紹介受診した。初診時の右眼矯正視力は指数弁で,著明な結膜充血,角膜中央部の潰瘍および前房蓄膿を認め,抗菌薬の局所投与ならびに抗ウイルス薬の全身投与を開始した。1週後,角膜擦過物からC. albicansが検出され,ボリコナゾールの内服および点眼,ピマリシン眼軟膏へ治療を変更したが潰瘍の上皮化不良と前房炎症の遷延により効果は不十分であった。治療をフルコナゾール内服へ変更後も改善はみられず,アムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)の点滴静注を開始し,前房蓄膿の消失と潰瘍の上皮化,結膜充血の軽減を得た。退院後,前房蓄膿の再出現および充血増悪により再入院となったが,L-AMB再投与により改善を得た。しかし,長期の静注継続は困難であったため,難治例への有効性と経口投与可能である点を踏まえ,当院倫理委員会承認のもとポサコナゾール(PSCZ)内服へと切り替えた。投与開始後1週で前房蓄膿は消失し,実質浸潤の縮小と上皮化進行が認められ,以後再発なく経過した。開始後5週で発熱性好中球減少症および肝機能障害(いずれもPSCZの副作用)が出現し,同薬は中止となった。その後,全身状態は回復し,病巣は瘢痕化し最終的に右眼矯正視力は0.5を得た。局所治療に抵抗する真菌性角膜炎では,抗真菌薬の全身投与が有効な治療選択肢となり得ると考えられた。

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