発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011072004
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89歳男。転倒後に背部痛が出現し、前医でのX線で胸椎は多椎体にわたり前縦靱帯が骨化し強直していたが、骨折はみられなかった。受傷10日後に背部痛が増強し、受傷2週間後に両下肢不全麻痺が生じ、X線でTh9椎体の骨折を認め、前縦靱帯の連続性は絶たれ、骨折部は前方が開大していた。MRIでは骨折部はT2強調画像で高信号を呈し、後方に突出した骨片で脊髄が圧迫されていた。Th9椎弓切除、Th7~Th11のin situでの椎弓根スクリューシステムを用いた後方固定術が行われ、麻痺は改善し、歩行器歩行可能となったが、術後5ヵ月に麻痺が再燃した。X線で骨折部は偽関節で、骨折部の中枢骨片が後方に転位し大きな骨欠損を認めた。また、下位の椎弓根スクリューに弛みを認めた。再手術目的で当科転院となり、転院時のMRIでは後方に転位した中枢骨片と残存するTh9椎弓の間で脊髄が圧迫されていた。椎弓切除の追加、ハイドロキシアパタイト(HA)ブロックによるTh9椎体形成術、自家腸骨による後方固定術を行い、椎弓根スクリューの弛みにはスクリュー周囲のHA充填による補強を行った。術後徐々に麻痺は改善し、歩行器歩行が可能となった。
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