発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044264
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
77歳女。近医にて頸椎から仙椎にいたる広範囲脊椎硬膜外膿瘍を認めたため、当院へ転院となった。軽度の貧血と炎症反応を認めた。脊椎MRIにて、C2~S2の硬膜後方にT1強調画像で等信号、T2強調画像で高信号を呈し、周囲のみ造影効果を受ける硬膜外占拠性病変を認め、L5/S1椎間板はT2強調画像で高信号を認めた。以上の所見からC2~S2にいたる広範囲脊椎硬膜外膿瘍、L5/S1椎間板炎と診断した。進行性の神経学的欠落所見も認めたため、緊急手術を行った。Th2、L1に左片側椎弓切除術を行った。椎弓直下に不良肉芽を認め、これを除去すると硬膜外腔に白色混濁した膿瘍を認めた。膿瘍の吸引・洗浄を行った。L5/S1両側拡大開窓を行ったところ、椎弓後方の筋層にも膿性組織がみられ、汚染が強い状態であったが、L5/S1椎間板周囲には明らかな膿瘍は認めなかった。起炎菌の同定は出来なかったが、四肢筋力も徐々に回復し術後は経過良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010