発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103830
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67歳女。10年前より右下腿痛があり、腰部脊柱管狭窄症の疑いで鎮痛薬処方で経過観察されていた。今回、起床時に疼痛増強を来たし、夜間痛および歩行時痛が著明となった。右臀部に3cm大、弾性硬の腫瘤があり、右下肢に放散する圧痛を認めた。運動麻痺はなく、右下腿から足底に知覚低下がみられた。MRIでは右大臀筋腹側に被膜を有する39×35mmの充実性腫瘤を認め、上下方向で坐骨神経に連続し、T1強調像で低信号、T2強調像で低~高信号が混在する不均一な像を呈した。坐骨神経由来の神経原性腫瘍と診断し、手術を施行した。大臀筋の筋層に沿って鈍的に剥離したところ、坐骨神経に連続して背側に存在する腫瘍を認め、神経を損傷しないように核出した。病理組織像で腫瘍は出血、壊死を伴い、変性異型を示すSchwann神経束が極めて疎に分布し、変性型神経鞘腫であった。術後足底のしびれは残存したが、夜間痛・歩行時痛は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011