発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008091687
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症例は63歳男性で、左腹部腫瘤を6ヵ月前に自覚し、人間ドックでも指摘された。単純X線像では、左L3椎弓根の輪郭は不明瞭で、椎体から椎弓に骨透過像を認めた。CTは、左後腹膜腔に、左L3椎体を破壊する約12×8cm大の腫瘍を示した。造影MRIでは、腫瘍は左L2~L5に存在し、左腎は頭側に圧排変異し、辺縁部は造影されたが、中心部は造影されなかった。脊髄の減圧、椎体破壊による支持性の回復、試験切除術を兼ねた1回目の手術で、L3神経根から発生した神経鞘腫と確定診断した。全身状態の回復後、術後3週で腫瘍を切除する2回目の手術を行った。切除腫瘍は13×10×8cmで、紡錘形細胞が比較的密に増殖し、核の軽度異型性はあるものの、核分裂像はなかった。また、柵状配列やVerocoy体はみられなかった。紡錘形細胞はその殆どがS-100蛋白染色陽性であり、富細胞性神経鞘腫と診断した。術後5年現在、疼痛や神経症状はなく、画像所見上再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008