発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010080240
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22歳男。誘因なく左下肢痛が出現した。X線でL5/S1の狭小化とS1に脊椎披裂を認め、椎間板高は正常範囲であった。MRI矢状断ではL5/S1脊柱管内にT1強調像で等~低信号、T2強調像で高信号、内部均一な嚢腫様病変を認め、周囲に造影効果を認めた。横断像では硬膜管が嚢胞病変により左側に圧排されていた。L5/S1の椎間板造影では椎間板より病変部に造影剤が流入し、S1神経根領域に強い再現痛を認めた。ミエロCTでは線維輪の椎間板腔傍正中部より嚢腫内部への均一な造影を認めた。椎間板と交通した嚢腫による左S1神経根症状と診断し、嚢腫摘出術を施行した。L5/S1椎弓部分切除を行い、S1神経根をよけると暗赤色の薄い被膜に覆われた嚢腫が露出した。操作中に嚢腫は破れ、血性の内容物が流出し、神経根への圧迫も解除された。病理組織所見は腫瘤壁に線維性結合組織、毛細血管増生を伴う肉芽組織を認め、ヘモジデリンの沈着や滑膜組織などは認めなかった。術直後より腰椎は消失し、半年後には下肢痛も消失した。
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