発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009314601
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2003~2007年に治療を行った外傷性胸鎖関節後方脱臼6例(男5例、女1例、年齢9~47歳)を対象に検討した。経過観察期間は6~36ヵ月であった。受傷転機は柔道で肩から転落(介達外力)3例、ラグビー中に肩から転倒(介達外力)2例、自動車事故でシートベルトまたはハンドルでの受傷(直達外力)1例で、受傷時合併症は嚥下時痛を2例に認めたのみであった。治療方法は全身麻酔下の徒手整復2例(受傷後1・2日)、タオルクランプによる経皮的整復1例(受傷後1日)、観血的整復は3例(受傷後2・4・7日)に行ったが整復後の不安定性を認めなかったため内固定や再建術は行わずに靱帯・関節縫合を行った。最終経過観察時に脱臼の再発はなく、疼痛や可動域(ROM)制限は全例で認めなかった。本症は比較的まれな疾患であり単純X線40°cephalic tilt view撮影が診断および術後経過観察に有用であった。過去に報告された67例では12~17歳65.7%に集中し男性が88.1%と圧倒的に多かった。ラグビー、柔道、交通事故が大きな受傷原因であり、この三つで76.1%を占め、呼吸困難、嚥下時痛・違和感などの合併症は28.4%に発生したが早期診断・治療された症例では概ね良好な治療成績であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009