発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008236070
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70歳代後半男。28年前にL4/L5椎間板ヘルニア手術を受けていた。1年以上前から慢性的な腰痛と左下肢痛を自覚し、MRIのT1強調像で左腰部傍脊柱筋内に低輝度の辺縁明瞭な腫瘤を認め、T2強調像では内部不均一、中心部高輝度、Gdで辺縁が造影された。腰痛などの症状は腰椎変性によると考えられ、5ヵ月の経過観察後に診断確定のため切除生検を行った。術中所見で被膜に覆われた境界明瞭な腫瘤を腰筋膜下に認め、被膜は一部が椎弓、椎間関節と癒着していた。剥離中に内容物が一部表出し、1枚分のガーゼの塊と糸くずを含んだ肉芽であった。術後腰痛・左下肢痛に変化はなく、10日後に独歩退院した。病理組織所見で、硝子化した線維組織の中にガーゼの断片である糸くずを、その周囲にマクロファージと糸くずを含んだ多核巨細胞を認め、ガーゼ遺残による異物肉芽腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008