発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095261
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65歳男。糖尿病にて入院の上内科的治療中、ベッドから転落して左臀部を打撲し、同部位に腫脹を認め、疼痛増悪にてMRIを行い巨大膿瘍が疑われた。左臀部筋層下に液体貯留感を認め、エコーガイド下に大臀筋深層を穿刺し膿が吸引されたため、局所麻酔下に大臀筋膿瘍切開排膿術を施行してドレーンを留置し、更にセファゾリンアトリウム投与も行った。その後再度MRIを行なったところ、大臀筋内に膿の残存を認め、腸骨筋内膿瘍は縮小していなかった。培養の結果、Prevotella melaninogenica、Prevotella oralis、Clostridium subterminale、Enterobacter aerogenesが検出され、パニペネム・ベタミプロン配合[PAPM/BP]0.5gを朝夕継続した。しかし、ドレーンからの排膿は減少せず、炎症反応も改善しなかった。このため、全身麻酔下切開排膿術を施行し、大臀筋および腸骨筋内にドレーン留置した。PAPM/BP投与の継続で徐々に炎症反応は軽快、ドレーンからの排膿は減少し、排液の培養で菌の消失を認めた。抗生剤投与中止後も疼痛はなく、MRIでも膿瘍は消失していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2006