発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095254
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16歳男。バイクで転倒して受傷し、前医で右橈骨遠位端骨折および尺骨茎状突起骨折と診断され、受傷後2日目に経皮的ピンニングが施行された。術直後の整復位は比較的良好であったが、Kirschner鋼線を抜去する前から徐々に再転位が生じた。受傷後3ヵ月に母指運動障害を指摘され、また疼痛・可動域制限が改善しないため当院紹介となった。手関節の屈曲は手指屈曲位で制限され、手関節を屈曲すると母指および示指は伸展位となった。示指~小指は自動伸展可能であったが、母指指節間関節は不能であった。前腕回内10°、回外50°であった。単純X線像では橈骨が短縮、掌屈転位しており、骨折線は残存するが仮骨にて癒合していた。尺骨茎状突起は偽関節となり、遠位橈尺関節は背側脱臼していた。単純CTでは骨折部に軟部組織の介在を疑う骨欠損像を認めた。以上より、骨折部に手指伸筋腱が嵌入した陳旧性Galeazzi類似骨折を疑い手術を施行した。術後1年現在、手関節背屈80°、掌屈60°、前腕回内50°、回外70°と軽度制限があり、母指IP関節の自動伸展は不能であるが握力は健側比95%に回復した。
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