発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095253
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72歳男。主訴は腰背部痛・右大腿部痛で、徒手筋力テスト(MMT)にて左近位筋に4レベルの筋力低下と、左側の腱反射の低下を認めた。MRIの矢状断像でTh10~L2レベルでT1で等信号、T2で低信号、Gdで造影される分節上の病変により脊髄が多椎間にわたり圧迫されていた。ミエロCTではL1/L2レベルで不完全ブロック、Th12レベルで完全ブロックを認めた。脊柱管内の硬膜もしくは硬膜外の病変と考えられ、入院後に腰背部痛が更に増強し、下肢麻痺や膀腓直腸障害も出現してきたため手術を施行した。硬膜外を確認したが異常組織は認めず、硬膜は混濁・硬化していた。硬膜切開を行なったところ、硬膜自体が肥厚しており、これにより脊髄が圧迫されていた。肥厚硬膜を切除し、硬膜形成術を行った。病理組織所見より、血管炎を伴う脊髄肥厚性硬膜炎と診断した。術後、術前に認めた著明な腰背部痛は軽減したが、下肢麻痺は改善されず歩行も不可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006