発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095250
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83歳女。主訴は四肢のしびれ、四肢運動障害で、上肢腱反射は二頭筋反射以下全て両側とも亢進で、Hoffmann、Wartenberg反射は両側陽性、膝蓋腱反射は左側やや亢進、Babinski反射は左陽性、四肢感覚鈍麻と巧微運動障害が認められた。徒手筋力テスト(MMT)はC5以下で両上下肢とも3~4で、日整会頸髄症治療成績判定基準(JOAスコア)は17点中5.5点であった。X線で後頭骨と環椎に先天性と思われる癒合、歯突起の頭蓋底への陥入がみられ、環椎前弓-歯突起間距離(AADI)が開大しており、脊柱管前後径(SAC)は7mmと著明に狭小化していた。CTでは環軸関節の形成異常、関節面の方向異常がみられた。MRIでは歯突起による脊髄の圧迫、C3/C4・C4/C5で軽度、C5/C6・C6/C7で高度の脊柱管狭窄を認め、MRAでは両側椎骨動脈の蛇行を認めた。以上より、先天性後頭骨環椎癒合症および環軸椎亜脱臼による遅発性の頸髄症と診断した。ハローベストを装着したが効果がみられず、後頭下除圧術、後頭骨-軸椎後方固定術、C3-C7の椎弓切除術を実施した。術後2年現在、屋内は杖なし歩行可能で、頸部痛・しびれは若干残るが、MMTは両上下肢とも4程度まで回復した。
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