発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011143738
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症例1:52歳男。2年前より再発を繰り返す右膝の慢性関節水腫を認め当科紹介となった。単純X線で軽度の変形性膝関節症を認め、MRIでは膝蓋上嚢に著明な液体貯留とT1、T2強調像で高信号を呈する滑膜様組織の絨毛様増生を認めた。滑膜切除術を施行し、病理診断は滑膜脂肪腫症(樹枝状脂肪腫)であった。術後4年のMRIで膝蓋上嚢部の病巣再発はなかったが、関節水腫の持続、後十時靱帯背側、膝蓋下脂肪体周囲の病巣の残存を認め、関節鏡下に残存腫瘍を切除した。追加手術後6ヵ月の現在、関節水腫はほぼ消失している。症例2:72歳男。1年以上前より左肘の疼痛・腫脹があり、徐々に悪化し当科紹介となった。左前腕近位掌側に軽度圧痛を伴う腫瘤があり、CTでは円回内筋、回外筋、上腕二頭筋腱下に辺縁明瞭、内部不均一な吸収域を呈する腫瘤を認めた。MRIでは上腕二頭筋腱橈骨包に液体貯留を認め、橈骨粗面に接してT1、T2強調像ともに高信号域を含む不整な腫瘤があり、造影効果を認めた。切開生検術で滑膜脂肪腫症と診断され、滑膜切除術を施行した。術後症状は軽快し、再発は認めていない。
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