臨床室
右膝樹枝状脂肪腫に続発した関節リウマチの1例
白幡 毅士
1
,
菊池 俊彦
,
長谷川 朗彦
,
宮腰 尚久
,
島田 洋一
1秋田県厚生農業協同組合連合会由利組合総合病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
関節鏡法
,
関節リウマチ
,
MRI
,
膝関節
,
樹枝状脂肪腫
Keyword:
Arthroscopy
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Knee Joint
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
pp.1155-1157
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017028912
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
53歳男。関節水腫を繰り返しており、今回、右膝関節腫脹を主訴に紹介受診となった。初診時、関節穿刺で黄色透明な関節液が200ml吸引され、検査で結晶は認めず、培養も陰性であった。血液生化学検査ではCRPがやや高値、リウマトイド因子は陰性であった。右膝単純X線では軽度の膝OA所見を認め、MRIでは膝蓋上嚢に著明な液体貯留とT1、T2強調像で高信号を呈する滑膜様組織の絨毛増生を認めた。以上より、色素性絨毛結節性滑膜炎などの滑膜性疾患を疑い、関節鏡視下滑膜切除術を施行し、病理所見より樹枝状脂肪腫と診断した。術後もCRPの軽度陽性と関節水腫が持続し、術後4年には左膝の関節水腫とCRP上昇を認めた。抗環状シトルリン化ペプチド抗体が陽性を示し、両母趾中足指節関節の腫脹・圧痛、単純X線で骨びらんを認めたことから、関節リウマチ(RA)と診断した。金チオリンゴ酸ナトリウムの投与にてCRPは低下したが、関節水腫が持続するためブシラミンに変更したところ改善した。RA診断後10年以上経過するも再発はなく、経過良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016