発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006225118
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13歳女.左前腕遠位背側・掌側,尺骨茎状突起部に表面平滑,弾性硬で各々4×5cm,3.5×4cm,2.5×2.5cmの腫瘤を認め,圧痛があった.左前腕の可動域は回内50°,回外20°と高度の制限を認めた.X線では左前腕遠位部の軟部陰影の増強,橈骨,尺骨骨幹端から骨幹にかけて辺縁の骨硬化を伴う不規則な骨侵食像と,尺骨の成長障害を認めた.MRIでは腫瘤はT1強調像で等信号,T2強調像で高信号を呈し,Gdで強く造影された.軟部肉腫あるいは良性腫瘍を疑い,切開生検術を施行した.腫瘍は紡錘形の細長い核を持った細胞の束状増生より成り,間質には豊富な膠原線維の増生を認め,核異型,分裂像はなかった.腹壁外デスモイドと診断し,尺骨遠位部を腫瘍と一塊に切除し,骨間部の腫瘍は強い癒着のため病巣内切除した.橈骨骨髄内の腫瘍は掻爬し,欠損部に自家骨移植を行った.術後3ヵ月で前腕可動域はほぼ正常化し,移植骨の同化を認めたが,MRIでは橈骨手掌側に腫瘍が残存していた
©Nankodo Co., Ltd., 2006