発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006036251
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34歳女.左股関節痛を主訴とした.単純X線で左臼蓋の周辺に骨硬化を伴う骨溶解像を認め,CTでは左臼蓋の骨皮質の一部破壊と,股関節内部にまで及ぶ腫瘍を認めた.腫瘍は,MRI T1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度を示し,内部は一部低輝度であった.生検では異型細胞や分裂像,細胞密度の増加を認めた.臼蓋発生軟骨肉腫と診断し,腫瘍を股関節とともに一塊として切除した.続いて,切除臼蓋の病巣部を掻破し,液体窒素で20分間処理した後に常温に戻し,15分間生理食塩水に浸した後にイソジン液で消毒した.凍結処理した骨を臼蓋の欠損部に移植し,つば付きカップサポーターで固定した後に制御型人工関節に置換した.最後に,臼蓋の内側に血管柄付き腓骨移植を行った.病理組織学的所見ではmyxoid changeを背景に多数の異型細胞がみられ,grade IIの軟骨肉腫と診断した.凍結処理後では空胞化し壊死した腫瘍細胞を認めた.術後再発,感染はみられなかった.凍結療法は軟骨肉腫に対して十分なcryonecrosisが得られ,臼蓋広範切除後の自家骨移植の併用療法として有用であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005