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症例は36歳女性で、幼少時より成長ホルモン産生下垂体腫瘍を指摘され、幼少時にMcCune-Albright症候群(MAS)と診断された。小児期に左大腿骨頸部骨折と診断されたが手術療法を行わず偽関節に至った。7年前、右下腿骨骨幹部骨折、1年前、左大腿骨骨幹部骨折で観血的整復固定術を受けるなど複数回の骨折治療歴を有し、左下肢の著明な短縮をきたした。夏祭り準備中に転倒し右股関節痛を生じ立位不能となり救急受診した。右股関節の動作時痛が著明で歩行不能で、右下肢の神経学的異常は認めず、脚長差を認め左下肢は75mm短縮していた。単純X線像で大腿骨近位部に比較的境界明瞭な多発性のすりガラス様陰影とその周辺に硬化像を伴う嚢胞様病変を認めた。右大腿骨転子下骨折を認め、大腿骨近位部は著明な内反股変形を伴っていた。CTでは大腿骨近位部に低輝度を呈する嚢胞様病変とその周囲に硬化像を認める病変があり、骨皮質の一部に菲薄化がみられた。ALPが1329IU/lと単独高値を示し、Ca、P値などその他に異常所見はなかった。以上より、MASにおけるshepherd's crook deformity(SCD)に伴った右大腿骨転子下病的骨折と診断し、骨接合と頸体角・下肢長差の改善などのため手術的治療を行った。SCDに対し大腿骨転子下で30°の外反骨切りに大腿骨骨幹部の20mm短縮術を追加後、骨接合術を行った。骨接合にはコンプレッションヒップスクリュー、中空螺子を用い骨接合を行い、骨折部良好な固定性が得られ、線維性骨異形成による嚢胞性病変は十分に掻爬し、外反骨切りで切除した大腿骨を用い自家骨移植し、ハイドロキシアパタイトによる人工骨移植を追加した。術後、単純X線像で大腿骨頸体角は120°に矯正され、術後CTでは大腿骨近位部に嚢胞様病変は消失し、自家骨・人工骨が十分充填されていることが確認された。術後1年、大腿骨近位部の内反変形の進行は認めない。
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