発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006128136
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1998年2月から2003年3月にセメントレスTKAを施行した55例60関節を無作為に2群に分けて駆血帯開放のタイミングが出血量にどのような影響を及ぼすかを前向き調査により検討した.駆血帯開放を創閉鎖前に行った30関節をA群,後に行った30関節をB群として出血量を比較した.両群に臨床的患者背景に差はなかった.術中・術後に創感染や創の遅延治癒をきたした症例はなかった.平均出血量は全例で819ml,A群で906ml,B群で731mlであったが,両群間に有意差はなかった.しかし,Hbの変化や輸血量を考慮して出血量を計算するとA群の方が有意に出血量は多かった.Hb値とHt値は術後1週から3ヵ月後までA群が有意に低値であった.セメントレスTKA時には注意深い切開と膝周囲の血管解剖を理解することで止血操作は容易であり,周術期の出血量を減少させることができる.今回の検討から,駆血帯使用時の周術期出血対策として創閉鎖後に圧迫包帯固定を行った後に駆血帯を開放することが薦められる
©Nankodo Co., Ltd., 2006