発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009159688
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人工膝関節全置換術(TKA)における深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)の発生を予防する目的で2007年8月~2008年2月の半年間にTKAを施行した55症例56関節を対象に予防方法別のDVT・PEの発生率について検討した。予防方法としては2007年8~10月の間は手術日からフットポンプを使用(A群:18例19関節)又は術後2日目からXa阻害薬を単独で使用(B群:7例7関節)し、2007年11~12月の間はフットポンプを手術日から使用して術後2日目からXa阻害薬を併用(C群:15例15関節)した。2008年1~2月の間はフットポンプを手術日から使用、低用量未分画ヘパリンを当日2500単位・翌日5000単位投与し、更に術後2日目からXa阻害薬を併用(D群:15例15関節)した。その結果、DVT発生率はA群:52.6%・B群:42.9%・C群:33.3%・D群:33.3%で、D群以外のA・B・C群では一時的なSpO2低下・胸部痛・意識消失など胸部症状を認めたが、PEは全例で認めなかった。術後1週目のDダイマー値ではD群はA群より有意に低値を示し、B・C群も低下傾向がみられ、有意差は認めないもののDVTあり群はなし群に比べ術後1週目のDダイマー値は高い傾向がみられた。以上より、TKA施行当日から低用量未分化ヘパリンを使用することで胸部症状の発生を予防することが可能と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009