発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006040974
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65歳男.右前腕部腫瘤および疼痛を主訴とした.胸部X線・CT像で転移巣はみられず,悪性病変の可能性を考え針生検を行ったところ,腫瘍に異型性のある小型の腫瘍細胞をわずかに認めたが,粘液腫と診断した.腫瘍切除術を行い,摘出腫瘤の病理組織像には豊富な粘液状基質と新生血管を認め,わずかな異型性を持つ小型の類円形の腫瘍細胞であり,粘液状血管腫と診断した.なお,S-100蛋白陽性であった.術後4ヵ月で左肺に転移巣が出現し,肺部分切除術を行った.摘出標本のS-100蛋白は陽性で,病理組織像では腫瘍は未熟な軟骨様基質と粘液状基質からなっており,軽度の核異型性をもつ類円形または紡錘形の腫瘍細胞が増殖していた.以上より,粘液型軟骨肉腫と診断した.その後も肺転移,リンパ節転移に対し手術を繰り返し行い,初回手術から3年1ヵ月後に多発性肺転移による呼吸不全で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2005