発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005140041
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55歳男.腰痛,両下肢しびれ,筋力低下を主訴とした.2003年7月29日に心筋梗塞を発症し,経静脈血栓溶解療法施行後,抗凝固療法を開始したが,2日後に主訴が出現した.神経症状は進行性で,8月1日9時の初診時,改良型Frankel分類はD0であったが,午後の診察時にはB2となり,徒手筋力テストにて腸腰筋以下0,Th10以下の知覚鈍麻,膝蓋腱以下の反射消失を認めた.緊急胸腰椎MRIにてTh9~L1までの硬膜外にT1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度の占拠性病変を確認し,硬膜外血腫と診断した.保存的治療での改善は困難と判断してTh9~Th12までの椎弓切除と血腫除去術を施行したところ,術直後より麻痺は改善して抗凝固療法の再開が可能となり,術後6ヵ月の改良型Frankel分類はEまで改善した.硬膜外血腫は神経症状や原因疾患の有無によって治療方法を選択し,心筋梗塞治療中でも麻痺が進行性であるならば積極的に除圧するべきと考えられた
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