発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005039469
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12歳男児.右股関節部痛を主訴とした.幼児期からアトピー性皮膚炎の既往があった.初診時,右股関節部に圧痛を認め,関節可動域制限が著明であった.ほぼ全身に掻痒,掻破された湿疹が存在していた.MRIで右股関節内に液体貯留を認めた.右股関節から黄白色の膿を穿刺吸引し,直ちに関節を切開してドレーンを留置した.関節液培養で黄色ブドウ球菌が検出され,術後2週間後はセファゾリンナトリウムを点滴投与した.次第に炎症所見は改善し,術後2ヵ月後退院した.初診10ヵ月後,右膝関節部痛が出現し,加療中,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された.抗生物質をバンコマインンに変更し,関節切開,持続洗浄を行い,炎症は次第に沈静化した.アトピー性皮膚炎の湿疹は一進一退を繰返しており,関節炎再燃についても経過観察中である.長期間にわたる皮膚炎のため,バリア機能が低下し,皮膚に付着した細菌が血液中に入りやすい状態となり,血行性に化膿性関節炎を繰返したと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004