発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010155712
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18歳男。左下腿外側に擦過傷を受傷し、2日後に発熱、全身倦怠感、嘔気・嘔吐を認めた。初診時、体温38.7°、血圧98/48mmHgで、発赤や腫脹を伴わない左下腿擦過傷、眼球結膜充血、びまん性潮紅、左鼠径部にアズキ大のリンパ節腫脹を認めた。WBCは12900/μl、CRPは4.39mg/μlで、下腿擦過傷膿の塗抹検査ではGram陽性球菌を認めた。Toxic shock syndrome(TSS)を疑い各種抗生物質を投与し、更にショックに対しデキサメタゾン、スーパー抗原抑制目的でガンマグロブリン、DIC等予防目的でメシル酸ナファモスタットの投与を開始した。擦過傷部位は連日洗浄の上、抗生物質軟膏を塗布した。その結果、翌日には解熱し、3日目より全身状態も改善し、8日目に退院となった。咽頭、血液培養は陰性であったが、創部開放性膿培養よりTSST-1生産株の黄色ブドウ球菌が検出され、TSS診断基準は4項目しか満たさず確定診断には至らないもののTSS発症が強く疑われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010