発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004048438
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54歳女.37歳時に胸髄腫瘍にてTh9~Th12高位の椎弓切除と腫瘍(病理診断は神経鞘種)摘出術の既往がある.今回,両下肢の痺れと筋力低下を主訴に近医を受診,脊髄腫瘍を指摘され紹介入院となった.入院時,画像所見からTh10~Th11レベルでの神経鞘腫の再発が強く疑われ,他の部位には明らかな骨化傾向は認められなかったことから手術施行となった.術中所見ではTh9~L1高位で展開したところ前回手術瘢痕部位に扁平な骨塊が存在し,骨塊は椎弓根部と接続していたため,骨塊を強固に癒着した瘢痕組織とともに一塊として摘出した.摘出標本の病理診断は前回手術同様に神経鞘腫で,摘出した骨塊は病理組織学的には線維性の瘢痕組織と凝血塊を一部に含む骨組織で,腫瘍性病変や炎症所見は認めなかった.以上より,初回手術時に腫瘍摘出後の椎弓形成術が施行されておらず,この組織は椎弓切除後の瘢痕組織の一部が骨化したものと考えられた.術後,下肢筋力低下・痺れは改善し,術後2年経過し,30分以上歩行可能である
©Nankodo Co., Ltd., 2003