発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2001227713
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診断に難渋した虚血性小腸炎の1例を報告した.症例は66歳女で,腹痛,下血,嘔吐を主訴とした.腹部単純X線所見は,Double-bubble signを呈しており,十二指腸から近位空腸での狭窄が示唆された.小腸造影所見では,十二指腸およびTreitz靱帯から20cm肛門側迄の空腸に著明な拡張を認めた.その部分より更に肛門側の空腸は約15cmに亘って全周性に狭窄しており,母指圧痕像を一部認めた.腹部CTでは,腹水の貯留が少量認められ,胃,十二指腸から空腸起始部まで著明な拡張を認めた.以上より虚血性小腸炎による小腸狭窄を疑い,又,空腸腫瘍も否定できない為,手術を施行した.その結果,悪性を疑わせる所見はなく,狭窄部を中心に約25cm空腸を切除した.切除標本を切開すると,半周性の縦走潰瘍を認め,帯状ないしは地図状の広がりを呈していた.空腸壁は全層に亘り炎症性の肥厚が著明であった
©Nankodo Co., Ltd., 2001