消化器癌腹膜播種の最新知見
胃癌に対する腹腔内化学療法
石神 浩徳
1
1東京大学 外来化学療法部
キーワード:
胃腫瘍
,
胃切除
,
腫瘍多剤併用療法
,
腫瘍播種
,
腹膜腫瘍
,
Paclitaxel
,
TS-1
,
静脈内投与
,
腹腔内投与
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Gastrectomy
,
Neoplasm Seeding
,
Injections, Intraperitoneal
,
Peritoneal Neoplasms
,
Stomach Neoplasms
,
Paclitaxel
,
Administration, Intravenous
pp.938-943
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017380359
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腹膜播種を伴う胃癌の治療成績の向上のためには,臨床的特性を考慮した治療法の開発が必要である.われわれは抗癌剤の全身投与と腹腔内投与を併用し,奏効例に対して胃切除を施行するという集学的治療を実施してきた.S-1にpaclitaxel経静脈投与と腹腔内投与を併用するレジメンを考案して,第I相試験により推奨投与量を決定し,第II相試験により1年全生存割合78%という成績を得た.第III相試験では,主解析によりS-1+cisplatin併用療法群に対する優越性は示せなかったものの,感度解析では臨床的有効性が示唆された.また,腹腔内化学療法を施行した初発胃癌100例中64例に対して,化学療法奏効後に胃切除を施行し,生存期間中央値30.5ヵ月という成績を得た.腹膜播種を伴う胃癌に対して,腹腔内投与併用化学療法と奏効後の胃切除による集学的治療は,安全かつ有効であると考えられた.
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