発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017343469
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75歳女性。近医にて糖尿病と診断され、HbA1cが7.1%より9.4%に増悪したため、腹部超音波検査を行なったところ、膵頭部に腫瘍を指摘され、精査加療目的で紹介となった。腹部CTでは、膵頭部に25mm大の辺縁不整で、境界が比較的明瞭な低吸収性腫瘍と膵尾部側の主膵管拡張を認めた。腹部MRIでは、T2強調像では膵頭部に高信号となる小嚢胞が多数認められ、MRCPでは一部の小嚢胞は主膵管との連続性がみられた。以上から、粘液癌または膵管内乳頭粘液性腺癌を疑い、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。病理学的所見では、腫瘍は肉眼的に25mm大の充実性腫瘤で、内部に一部嚢胞成分を含んでいた。組織学的には腫瘍の大部分は拡張した腫瘍腺管であり、拡張した膵管内には乳頭状成分は乏しく、膵管内乳頭粘液性腫瘍は否定的であった。豊富な線維性間質を認め、間質の一部に粘液湖を認めたことから、本症例は浸潤性膵管癌large duct typeと診断された。術後、経過は良好で、術後13日目に退院となった。
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