発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017275452
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40歳女。鼠径部痛を主訴とした。右鼠径部から大陰唇にかけての膨隆を認め、立位で常に膨隆し、仰臥位で消失、腹圧をかけると疼痛の増悪を認めた。腹部超音波にて右鼠径部に22×6cm大の嚢胞性病変を認め、大陰唇遠位端までつながっていた。腹部CTでは、鼠径管、外鼠径輪を通過し、右鼠径部から大陰唇皮下にかけて腹腔から連続する液体貯留腔を認めた。MRIにて境界明瞭、扁平な嚢胞性病変を認めた。手術時、トロカールを3本挿入し腹腔内を観察したところ、右内鼠径輪より、緊満した巨大水腫を認めた。水腫壁は非常に薄く、損傷せずに水腫を完全切除することは不可能と判断し、腹腔内にて内溶液を吸引した。水腫は子宮円索と並行し癒着していたため、子宮円索とともに切除しようとしたが、子宮円索や周囲組織が強固に固着していた。腹腔鏡操作での剥離はきわめて困難と判断し、恥骨結合を越えた大陰唇皮下で水腫を可及的末側で切離・解放し、水腫壁を一部残した。摘出標本所見は12.5×5.0×0.5cmで、内容液の細胞診にて悪性所見は認めなかった。病理所見は、Nuck管水腫として矛盾しなかった。術後は経過良好で、術後5ヵ月経過した現在も再発や疼痛は認めなかった。
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