発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017275451
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62歳女。繰り返す下腹部痛を主訴とした。圧痛や血液検査での異常は認めなかった。腹部単純CTにて、腸管外へ突出する約30mm大の細長い高吸収像を認め、周囲に膿瘍形成や腹水貯留、free airは認めなかった。以上より、腹腔内異物と診断した。本人希望により手術を行わず、経過観察をしていたが、繰り返し腹痛を認めたため、腹腔内異物を摘出する方針となった。ポータブル腹部X線撮影にて異物の移動を確認し、開腹後EZアクセスを装着した。右腹部に大網の癒着と小腸から突出した10mm程の針金を認め、突出した針金は5mm程、腸管内腔を貫通し、そのまま腸間膜内へ穿通していた。同腸間膜を15mm程剥離し、針金の端を確認後、抜去した。術後は経過良好で、術後6日目に退院となり、3年経過した現在も腹痛の再燃は認めなかった。今回抜去した針金は、金網の一部が加工食品に混入し、気づかずに誤飲した可能性が最も高いと考えられた。
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