発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017288222
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症例は38歳女性で、右鼠径部に膨隆を自覚した。月経7日前くらいから症状が出現し、その後自然軽快したが、月経周期と一致して増大を繰り返した。最脱出時(月経時)は鶏卵大程度となり、痛みも伴った。腹部CT所見では、右鼠径部に20mmほどの腫瘤構造を認め、これに連続するように、その尾内側にも20mm大の腫瘤構造を認めた。右子宮円索周囲に存在し、Nuck管水腫の疑われる所見であった。月経周期と一致した変化を繰り返し、異所性子宮内膜症を伴ったNuck管水腫を疑い手術を施行した。手術は膨隆時に一致するよう日程を調整した。病理所見では中皮で裏打ちされた嚢胞状構造物を認め、一部炎症ないし線維化を伴った。ER陽性細胞を一部に認めたが、明らかな子宮内膜組織は認めず、一部にヘモジデリン沈着を認めた。術後経過は順調で、術後3日目に退院した。術後半年で、再発所見は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2017