発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017275449
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳女。胸やけを主訴とした。高血圧、高脂肪血症の既往があった。血液検査にて貧血を認めた。腹部CT所見にて、胃前庭部に境界明瞭な42×24mmの類円型の病変を認め、一部石灰化がみられた。上部消化管内視鏡では、胃体下部から前庭部大彎に、双こぶ状のなだらかな隆起を認めた。超音波内視鏡では、内部は不均一な低~等エコーで、腫瘍の周囲を取り囲むように全周性に低エコー層が認められた。診断と治療を兼ねて、腹腔鏡下胃部分切除術を行った。腫瘍が胃体下部大彎に存在することを確認後、大網を胃大彎側付着部で切離し、次に胃後壁と膵頭部前面に認められた癒着を剥離した。剥離後、超音波凝固切開装置で、胃壁は全層性に切開した。切除標本の肉眼所見では、最大径40mmの単房性の嚢胞性病変であった。病理組織学的検査所見では、嚢胞壁は胃壁と同様に層構造を呈し、嚢胞内腔側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層に相当する層を認め、固有筋層は胃壁と共有していた。以上の所見より、胃重複症と診断した。免疫組織化学染色にて、悪性所見は認められなかった。術後は経過良好で、7日目に軽快退院された。
©Nankodo Co., Ltd., 2017