発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009125158
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
27歳女。約1ヵ月前に自覚した疼痛を伴わない左腹部の鶏卵大腫瘤で入院した。血液・末梢血・化学検査で異常所見は認めず、腫瘍マーカーも正常であった。CTで膵尾部と脾臓、左腎に囲まれた径7cm大の比較的境界明瞭で、造影が不均一で弱い充実性腫瘍を認め、MRIではT1、T2とも低信号を呈した。ポリープ病変は認めず腸間膜由来の腫瘍を疑い開腹手術を施行し、網嚢内に径7cm大の球状腫瘍を認めた。横行結腸とトライツ靱帯近傍の空腸が巻き込まれており腫瘍の由来が小腸間膜か結腸間膜かの断定は困難であった。膵体部との強い癒着もみられ腸管部分切除、膵体尾部および脾臓の合併切除を施行した。腫瘍の割面は均一な線維性で壊死出血は認めず、病理所見より異形の乏しい線維芽細胞増殖と周囲の膠原線維沈着を認めたが核分裂像はなく、腸間膜線維腫症と診断した。術後経過良好で再発は認めていない。本症は悪性ではないが隣接臓器への浸潤をきたし易く、再発の可能性も考慮して慎重な経過観察が重要と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009