発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017135893
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67歳男。会陰部膨隆を主訴とした。下部直腸癌に対する腹腔鏡下直腸切断術後1ヵ月頃より会陰部が膨隆して徐々に増大し、立位で会陰部に小児頭大のヘルニアがみられた。腹部CT所見では小腸は前立腺レベルまでに留まり、会陰部皮下に貯留する多量の腹水を認めたため、腹水をヘルニア内容とする会陰ヘルニアと診断し、術後5ヵ月目に経会陰式アプローチ法によるメッシュ修復術を行った。Dual Meshを使用してヘルニア門(6×6cm大)を腹腔内側から被覆し、腹水が貯留する死腔を残存させないよう低圧持続吸引ドレーンを第9病日まで留置した結果、術後は合併症を併発することなく良好に経過し、術後21ヵ月目の現在も再発の徴候はみられない。本例はアルコール性肝硬変の既往があり、肝硬変などによる多量の腹水の存在も会陰ヘルニアの発症因子の一つと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017