発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014042098
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症例は60歳代男性で、右下腹部痛で受診し、CTで右下腹部の回盲部背側に嚢胞状に腫大した虫垂を認め、虫垂腫瘍疑いで入院とした。腹部は平坦・軟で圧痛はなく、検査でも異常所見はなかった。大腸内視鏡で虫垂開口部の半球状隆起を認めたが、粘膜面は正常であった。虫垂粘液嚢腫の診断で腹腔鏡下手術を行った。術中回盲部周囲の腹膜や右横隔膜下に粘液の付着、腫大・緊満した虫垂の穿孔部から粘液漏出を認め、虫垂間膜を超音波凝固切開装置で切離し、自動縫合器で盲腸部を含めた盲腸部分切除術を行い、S状結腸の腹膜垂に粘液の固着を認め、超音波凝固切開装置で切除した。病理所見では虫垂内腔に粘液が充満し、粘液産生性の高円柱上皮の乳頭状増生を認め、穿孔部は筋層を欠いた憩室の形成と粘液漏出を認めた。腹膜偽粘液腫を伴う虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された。腹膜垂に付着の粘液内に腫瘍細胞は認めなかった。術後9日目に退院し、6年半経過で再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013