発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016298059
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67歳女性。吐血と下血を主訴に救急外来受診となった。血液検査で正球性貧血を認め、上部消化管内視鏡を行なうも明らかな出血源を同定できなかった。しかし、翌日再検すると十二指腸下行脚にだるま状に連なる2個の憩室と傍乳頭憩室を認め、憩室間にまたがる潰瘍病変から活動性出血が確認された。そこで、内視鏡下に高周波止血鉗子による凝固とクリッピングで止血を行い、更に止血処置後は赤血球濃厚液を投与した。その結果、症状に進行を認めず、4日後に食事を開始した。だが、経口摂取開始9日目に再び黒色便が出現した。上部消化管内視鏡検査を行なったところ、同部位からの出血が確認された。以後、前回同様の止血処置が行われたが、止血処置2日後に再度多量の下血を認めたため開腹下に憩室壁を切除し、十二指腸を縫合閉鎖した。以後、経過は良好で、患者は術後12日目に退院となった。尚、目下、術後2年8ヵ月経過で再発はみられていない。
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