発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263645
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34歳女性。数日前から空腹時に心窩部痛を認め近医を受診、内服治療を受けるも改善しないため著者らの施設にある内科に最初紹介となったが、腸閉塞の疑いで第3病日目に外科へ転科となった。腹部X線像では上部空腸にニボーを形成していたが、骨盤内小腸はガスは含んでいなかった。だが、腹部造影CTでは小腸は上部空腸から骨盤内まで拡張しており、douglas窩には拡張小腸が存在していた。以上、これらの所見を踏まえ、本症例は原因不明の内ヘルニアや索状物などによる腸閉塞と診断して、同日イレウス管による減圧治療を開始した。その結果、第4~5病日目と腹部症状は改善が認められたが、第6病日目には再び腹部膨満が増悪して嘔吐を認めた。腹部X線を行なったところ、造影剤は上行結腸から移動しておらず、減圧療法の限界と判断し、内ヘルニアによる腸閉塞の診断にて開腹下手術が施行された。術中所見では骨盤内の観察で小腸はdouglas窩右側の骨盤底に嵌頓していたが、口側小腸を牽引することで嵌頓小腸は容易に解除できた。一方、Douglas窩右側の直腸傍窩には約1.5cm大の裂孔があり、ヘルニア門を形成しており、その奥の正常腹膜がヘルニア嚢で、総じて直腸傍窩裂孔ヘルニアであった。尚、術後は麻痺性イレウスが遷延したものの徐々に改善し、患者は第12病日目に退院、半年経過現在、再発は認められていない。
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