発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226274
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78歳男性。脳性麻痺による右半身不全ほか、右大腿骨頸部骨折にて人工股関節置換術の既往があった。今回、発熱を伴う腹痛や嘔吐を主訴に著者らの施設へ紹介入院となった。血液検査では炎症反応がみられ、腹部CTでは小腸が拡張してイレウス状態であった。また、右鼠径部には小腸に連続する径3.0×2.3cmの皮下腫瘤が認められた。以上より、本症例は右鼠径ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスの診断にて緊急手術が施行された。術中所見では全身麻酔下に鼠径法でアプローチしたところ、ヘルニア嚢は鼠径管後壁から脱出しており、内部にはうっ血した小腸がみられるも壊死所見はなく、腸管切除は施行しなかった。一方、ヘルニア門は径1.5cmで、下腹部動脈より内側にあり、恥骨結節外上方に近傍していたため外膀胱上窩ヘルニア嵌頓と判断されたが、鼠径管後壁全体における脆弱性は認められなかった。以後、ヘルニア嚢を切除、腹膜を縫合閉鎖してmesh plug法でヘルニアを修復して手術を終了した結果、患者は術後経過良好で退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014