発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263646
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80歳男性。急な腹痛、吐血、発熱があり近医を受診、上部消化管内視鏡では出血部位は不明であったが、3日目に再吐血しショック状態となり、大量消化管出血として大量輸血と強心薬の持続投与を行いながら著者らの救命救急センターに搬送された。血液検査では著しい炎症反応の上昇、貧血ほか、腎機能障害、高アミラーゼ血症、低蛋白血症が認められた。更に造影CTでは腎動脈下の第3・4腰椎レベルの大動脈周囲に気泡を伴い壁造影される腫瘤形成と腫瘤内への造影剤漏出がみられ、また腫瘤と十二指腸内腔の瘻孔形成が認められた。その後も再度大量出血したことから血圧は低下、自発呼吸の停止も認めたため気管内挿管し、次いで右大腿動脈より穿刺で大動脈閉塞バルーンを挿入した。以後、バルーン拡張させたまま手術室に移動した。術中所見では腹部大動脈と十二指腸との瘻孔部に到達し十二指腸を剥離すると膿瘍が認められ、十二指腸穿孔部の部分切除後に直接縫合閉鎖した。その結果、心不全と呼吸不全で長期間のカテコラミン投与と人工呼吸管理を要したが、第8病日目から経管栄養剤を注入、第17病日目には経口摂取の開始となり、第70病日目に胃・腸瘻チューブを抜去、90日目にリハビリテーション目的で転院となった。
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