発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263636
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33歳女性。嘔気を伴う心窩部痛に続き黒色便が出現したため近医を受診、上部消化管内視鏡にて幽門前庭部に出血を伴う粘膜下腫瘍を認め著者らの施設へ紹介となった。緊急入院後に内視鏡的止血術が計4回施行されたが止血できず、消化器外科にて上部消化管内視鏡を行なったところ、所見では胃幽門前庭部後壁に表面は正常粘膜に覆われる粘膜下腫瘍性病変がみられ、中央には白苔を伴う潰瘍を形成したoozingが認められた。また、腹部造影CTでは胃幽門前庭部後壁の粘膜下に比較的境界明瞭な最大径30mm大の腫瘤影が確認され、腫瘤は強く造影されるも内部は部分的に低吸収域が認められた。以上、これらの所見から、本症例はgastrointestinal stromal tumor(GIST)が強く疑われ、局所切除の方針となった。術中所見では大網を切開して網嚢腔に入ると、鏡視下に胃を受動して胃後壁に存在する腫瘍が確認された。そこで、正中切開創を70mmに延長し、開腹での手術操作として直視下に腫瘍を切除して手縫い創々縫合で閉鎖した。その結果、摘出標本は直径27mmの弾性硬な粘膜下腫瘍であり、中央に潰瘍を有し、病理組織所見では典型的な組織像を示すグロムス腫瘍と診断された。尚、術後経過は良好で、患者は12日目に退院となった。
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