特集 腹部の最新画像情報2016
症例
肝腫瘍と鑑別が難しかった腹腔内膿瘍の1例
小野寺 祐也
1
,
久須美 貴哉
,
佐々木 邦明
,
澄川 宗祐
,
武内 利直
,
細川 正夫
1恵佑会札幌病院 放射線診断科
キーワード:
肝臓腫瘍
,
後腹膜腔
,
MRI
,
術後合併症
,
鑑別診断
,
超音波診断
,
腹膜疾患
,
腹腔鏡下胆嚢摘出術
,
腹部膿瘍
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
胆嚢結石症
,
陽電子放射型断層撮影
,
マルチモーダルイメージング
,
腹部CT
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Liver Neoplasms
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Peritoneal Diseases
,
Postoperative Complications
,
Retroperitoneal Space
,
Ultrasonography
,
Cholecystectomy, Laparoscopic
,
Abdominal Abscess
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
Cholecystolithiasis
,
Positron-Emission Tomography
,
Multimodal Imaging
pp.799-803
発行日 2016年6月10日
Published Date 2016/6/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2016319476
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67歳男。スクリーニングCTで肝後区域下面の腫瘤を指摘された。2年前に腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けており、USでは肝S6下面に多房性嚢胞性腫瘤を認め、腫瘤内部から後方へ多数のacoustic shadowがみられた。CT、MRIは多房性嚢胞形態を反映した所見で、嚢胞壁は一部不整に厚く、内部には小さな石灰化結節が多発し、内容液は粘稠度の高い状態が示唆された。腫瘤の形態と居住地より肝エキノコックス症を第一に考えたが、経過中のCTで病変が肝臓、腹腔内、右後腹膜へと広がりを見せたため、可及的に腫瘤を摘出したところ、肝下面の腫瘤内腔より膿と遺残結石を多数認め、遺残結石による膿瘍形成と診断した。本症例は胆嚢摘出術の既往があり、膿瘍腔から胆石が回収されたことから、胆嚢摘出術中になんらかの胆嚢損傷があり、胆石が腹腔内に落下して膿瘍を形成したと推察された。
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