発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084589
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1(75歳男性)。検診にて尿蛋白の指摘ほか、四肢の浮腫も自覚して近医を受診、ネフローゼ症候群を疑われ、著者らの施設へ紹介となったが、上部消化管内視鏡で進行胃癌、CTにて肝臓に孤立性の転移性腫瘍が指摘された。入院後、低カリウム制限食と水分制限の開始により下腿浮腫の減少が得られ、幽門側胃切除術(D1)+腸瘻造設術を施行した。その結果、病理診断は乳頭腺癌、1群リンパ節転移陽性で、最終診断はT2(MP)N1M1、Stage IVであった。術後は栄養療法として高カロリー輸液と新鮮凍結血漿を術後3日間、アルブミン製剤を術後7日間使用することでネフローゼは時間経過とともに尿中蛋白質が減少、患者は入院から2ヵ月後に退院となった。尚、退院後は肝転移に対してラジオ波治療、S-1内服による術後補助化学療法が行われたが、2年後のCTではリンパ節再発、肺転移が生じ、目下は化学療法を施行中である。症例2(72歳男性)。全身の浮腫を主訴に近医にてネフローゼ症候群を疑われ、著者らの施設へ紹介となった。所見では腎生検にて膜性腎症と診断されるとともに、上部消化管内視鏡で胃体上部後壁に早期胃癌(Type 0-IIc)が認められた。入院後、低カリウム蛋白制限食と水分制限により体重減少と尿蛋白の改善が得られた後、胃全摘術+Roux-en-Y再建+胆嚢摘出術+腸瘻造設術が施行された。その結果、病理診断は低分化腺癌、T3N0M0、Stage IIであったが、患者は術後2年目に慢性腎不全の悪化にて死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014