発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084586
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50歳代男性。2ヵ月ほど前から右乳房腫瘤を自覚、増大傾向を認めたため外来受診となった。初診時、右乳房C領域に約3cm大の弾性硬で可動性良好、かつ辺縁明瞭な腫瘤が触知された。マンモグラフィを行なったところ、右内外斜位方向で円形、境界明瞭平滑、高濃度な腫瘤像がみられ、カテゴリー 3と診断された。また、乳房超音波では右C領域に21×10mm大の境界明瞭で平滑な腫瘤が認められ、MRIでは右乳房C領域に29mmの腫瘤ほか、漸増型の造影効果と内部に隔壁様の低信号域が確認され、腫瘍部の穿刺吸引細胞診ではclass Iであった。以上、これらの所見を踏まえ、本症例は良性の葉状腫瘍あるいは線維腺腫が疑われ、局所麻酔下に腫瘍摘出術を施行、摘出標本の病理組織学的所見では腫瘍は比較的境界明瞭な薄い線維性の被膜を有する脂肪組織からなる組織で、内部にやや紡錘形細胞の目立つ細胞密度の高い部分が認められた。更に細胞質に脂肪滴を有する脂肪細胞が多数あり、高分化型脂肪肉腫であった。一方、全身検索では他臓器に病変は認めず、右前胸部壁から発生した原発性の脂肪肉腫として皮膚・大胸筋・周囲脂肪組織を含む腫瘍周囲広範囲切除術を施行した結果、腫瘍周囲のごく近傍に乳腺組織が少量散見され、乳腺原発脂肪肉腫と診断された。尚、術後は5病日目に退院となり、目下、術後9ヵ月経過で再発徴候なく外来通院中である。
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