発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316469
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69歳女性。乳癌検診でのマンモグラフィにて右乳房に腫瘤(カテゴリー4)を指摘され、著者らの施設へ受診となった。所見では右乳房C領域に直径2.2cm程度の弾性硬腫瘤が触知されたが、所属リンパ節は触知されなかった。マンモグラフィでは右乳房C領域相当に高濃度腫瘤が認められ、内部には多形性不均一な石灰化を伴っていた。また、辺縁は鋸状でカテゴリー5と判断された。一方、乳腺超音波では2.2×2.1cmの辺縁不整な低エコー腫瘤が認められ、前方境界線は断裂して内部に石灰化がみられた。MRIでは右乳房C領域に2.4×2.3×2.1cmの腫瘤を認め、やや分葉状で複数の結節がみられ、胸部CTでは右腋窩リンパ節は対側より目立つが小型・扁平で積極的に転移は疑えなかった。以上より、本症例はT2N0M0、cStage IIAと診断され、乳房切除術とセンチネルリンパ節生検術が施行された。その結果、摘出リンパ節の病理組織所見はInvasive ductal carcinoma(Scirrhous carcinoma)であった。尚、術後1日目の食事摂取後、ドレーン排液が白濁し、3日目には排液が増加、排液中の中性脂肪値も高値となった。乳び漏と診断され、絶食・末梢輸液管理を行い、octreotide(200μg/日、持続皮下注)を開始した。すると治療後はドレーン排液量は減少し、性状も漿液性となった。以後、患者は術後7日目より低脂肪食を開始、普通食に変更後も問題なく、術後11日目にドレーンを抜去し、翌日に退院となった。
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