臨床経験
反復したコイル塞栓術が奏効した高流量性下肢動静脈瘻による下腿潰瘍
田中 真
1
,
曽我部 長徳
,
橋本 好平
,
山本 博之
1三豊総合病院 外科
キーワード:
下肢潰瘍
,
下腿
,
血管造影
,
塞栓術
,
X線CT
,
動静脈瘻
,
血管内治療
,
コイル
Keyword:
Angiography
,
Arteriovenous Fistula
,
Embolization, Therapeutic
,
Leg
,
Leg Ulcer
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Endovascular Procedures
pp.192-196
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014122291
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62歳男。中学生時代から左下腿内側部に皮膚びらんを生じており、約10年前には同部皮膚潰瘍の下肢静脈うっ滞に高位結紮術を受けた。更に3年後、再診で動静脈瘻と診断され、コイル塞栓術後に弾力包帯着用したが、その後は受診していなかった。今回、17年経過で皮膚潰瘍病変の悪化で受診となった。所見では浮腫はないが、左大腿・下腿の周囲径が右側に比して大きく、表在静脈は拡張し、皮膚の肥厚がみられ、褐色調変化していた。また、左下腿内側部に約12×6.5cm大の悪臭を伴う皮膚潰瘍ほか、左足第1指爪外側に約7mm大の易出血性不良肉芽を認められたが、下肢動脈拍動は触知された。一方、超音波では足背側部から下腿内側部に動静脈シャント血流を多数認め、足背動脈と足背部皮下静脈は拡張していた。更に下肢動脈造影CTでは左下腿に動静脈が多数網状に走行しており、瘻部位特定は困難で、大腿動静脈や膝窩動静脈は左側で拡張していた。以上より、治療として3回のコイル塞栓術を行なった結果、潰瘍近位、中部は潰瘍が浅く縮小し、下腿皮下静脈拡張も消褪傾向となり、上昇していたCK値も3ヵ月後には低下傾向となった。尚、第1指不良肉芽は縮小したものの、のちに潰瘍遠位部に深い潰瘍を形成したため、足背動脈から分岐する大きな動静脈瘻を足関節神経ブロック下に2ヵ所結紮することで遠位部も表在化し、治癒傾向が認められた。
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