発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013373069
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28歳女性。自宅で腹部膨満と腹痛のため倒れているところを両親が発見し、救急搬送となった。検査所見にて白血球数の増加および貧血を認め、代謝性アシドーシスと呼吸性アシドーシスを呈していた。炎症反応の上昇は認められなかったが、腹部CTでは胃は著明に拡張し、ガスおよび残渣が貯留していた。だが、明らかな腹腔内遊離ガス像は認められなかった。以上、これらの所見を踏まえて、上部消化管内視鏡で減圧を行う予定であったが、検査直前に大量に嘔吐し、全身状態の悪化と腹腔内遊離ガス像も認めたため、緊急手術が施行された。その結果、切除された胃は広い範囲で粘膜の壊死がみられ、一部血管内は周囲を赤血球で囲まれた類円形の空隙がみられた。加えて小腸においては粘膜の凝固壊死と壁全層に及ぶ高度のうっ血がみられた。一方、術中には酸素化の悪化や高度の代謝性アシドーシス、貧血がみられ、術後も人工呼吸器下に集中治療室で全身管理が行われた。症状は術後2日目には安定したが、誤嚥性肺炎の合併が疑われ、術後6日目に気管切開術を施行、術後は経過良好で患者は術後68日目に退院となった。尚、敗血症性ショックによる後遺症の出現はみられていない。
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