手術症例報告
急性胃拡張・広範囲胃粘膜壊死を呈した上腸間膜動脈症候群
軍司 大悟
1
,
鍛 利幸
,
山根 圭
,
高木 秀和
,
古元 克好
,
小切 匡史
1岸和田市立岸和田市民病院 外科
キーワード:
胃拡張
,
胃鏡法
,
胃粘膜
,
壊死
,
上腸間膜動脈症候群
,
十二指腸空腸吻合術
,
腹部CT
Keyword:
Gastroscopy
,
Gastric Mucosa
,
Necrosis
,
Superior Mesenteric Artery Syndrome
,
Gastric Dilatation
pp.1345-1349
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017025631
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は76歳男性で、夕食を摂取した翌日朝より腹痛、嘔吐が出現、増悪し救急搬送された。腹部Xpでは、胃十二指腸の著明な拡張を認めた。腹部造影CTでは、腹部大動脈と上腸間膜動脈の間で十二指腸が圧迫され、その口側の胃と十二指腸の著明な拡張を認めた。上腸間膜動脈(SMA)症候群と診断し保存的加療目的に入院となった。入院時ショックを呈しており、ICUに入室した。入院後4日目に上部消化管内視鏡検査を施行し、胃大彎前壁に巨大胃潰瘍及び広範囲粘膜壊死像を認め、これが一連の炎症反応の遷延及び敗血症性ショックの原因であることが示唆された。中心静脈栄養管理、胃潰瘍の加療を行い、胃潰瘍の改善を認めた。入院後36日目に再度経口摂取を開始したが、腹痛、嘔吐などのSMA症候群の症状が出現した。繰り返すSMA症候群で、保存的加療に難治性であり、重篤な合併症を併発していたため、腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行した。術後11日目に退院となった。
Copyright © 2016, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.