発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013325742
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60歳代男。嘔吐を主訴とした。上部消化管内視鏡、透視検査で腹部食道から胃体上部に8cm程度の全周性3型腫瘍を認め、組織生検は管状腺癌であった。Siewert分類type 2の食道腺癌と診断し、右開胸開腹(第5肋間前側方切開による開胸)による噴門側胃切除、下部食道切除(D2リンパ節郭清)を行い、再建は胸腔内食道胃管吻合で行った。術後経過は良好であったが、減少していた胸腔ドレーン排出量が7日目より急増して1600ml/日となり、性状も淡血性から乳白色へと変化した。乳び胸と診断し、絶食と高カロリー輸液、octreotideの投与を行ったものの効果なく、術後19日に胸腔鏡下クリッピング術を行った。胸管の乳び流出部を確認するため、手術開始の4時間前より経腸的に経腸栄養剤の持続投与を行い、更に術中も継続した。乳白色の排液をたどり、胃管と背側胸膜との癒着を剥離したところ、胸管の損傷部位を確認できた。損傷部の足側にクリッピングを行い、乳びの流出は消失し、再手術後9日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013