発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016303747
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78歳男性。大腸癌の術前精査にて胸部異常陰影を指摘され、気管支鏡下針生検で原発性肺癌と診断、今回、大腸癌術後に手術目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、胸部CTでは右上葉S1に胸膜嵌入を伴う52×32mmの辺縁不整な腫瘤影がみられ、臨床病期IIA期の肺癌と診断された。右肺上葉切除およびND2a-2を行なったところ、病理組織学的に高~中分化型腺癌であった。一方、術後に乳び胸を合併し、絶食による保存的治療を開始したが、1000ml/日以上の排液が持続したため術後7日目に再手術が行われた。手術は露出部をクリッピングして閉鎖し、更にポリグリコール酸シートを敷き詰め、フィブリン糊を貼付した。だが、再手術後も排液が持続し、血液凝固第XIII因子の投与を開始するも排液が増加した。そこで、octreotide acetateの持続皮下投与を開始した結果、排液は著明に減少した。以後、6日目と10日目にOK-432による胸膜癒着療法を施行し、再手術後17日目にドレーンを抜去することができた。目下、術後4年経過で胸水の再貯留はなく、無再発生存中である。
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